ほう素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy: BNCT)についての自分用メモ
ホウ素中性子捕捉療法の研究チームには、どのような企業が参加しているのか、世界初のBNCT用医療機器(住友重機械工業)について等、自分なりにBNCTについて調べてまとめたつもりです。
しかしながら、付け焼刃的にさらっと色々なサイトを読んだだけですので、間違いもございます。その点、ご容赦ください
中性子捕捉療法とは
中性子捕捉療法(ちゅうせいしほそくりょうほう、英: Neutron Capture Therapy、略称 NCT)とは、原子炉などからの中性子と癌組織に取り込まれた中性子との反応断面積が大きい元素との核反応によって発生する粒子放射線によって、選択的に癌細胞を殺すという原理に基づく癌治療法(放射線療法)である。
この治療法に用いられる中性子増感元素としてはホウ素(10B)、ガドリニウム(157Gd)等が考えられているが、現在はホウ素のみが用いられており、この場合特にホウ素中性子捕捉療法(ほうそちゅうせいしほそくりょうほう、英: Boron Neutron Capture Therapy、略称 BNCT)と呼ばれる。
福島第一原子力発電所の事故で、京大の研究用原子炉が2014年から運転停止。2017年の運転再開まで、原子炉を用いたBNCTの臨床研究がストップしていた事を思うと、研究&開発の苦労が想像できる
ほう素中性子捕捉療法はBNCTともいわれ、ほう素をがん細胞に取り込ませて極弱い中性子を当てることで、がん細胞単位でがんを死滅する療法です。がん細胞が細胞死しても隣の正常細胞は生き残れるため、手術ができないがんの治癒の最後の手段となっています。
— Horiike Hiroshi (@PdxDk) July 18, 2014
ホウ素中性子捕捉療法の研究チーム
国立研究開発法人・科学技術振興機構によると、ホウ素中性子捕捉療法の研究チームは、国内にいろいろあるらしい。
- 京大のチーム(京大・住友重機・ステラファーマ)
- 国立がんセンターのチーム(CICS・昭和真空・日本軽金属HD)
- 筑波大のチーム
産学官連携・いばらきBNCTグループ、筑波大学、北海道大学、JAEA、三菱重工、 茨城県 - その他
京大のチーム
- 京都大学 住友重機械工業株式会社
- 東京工業大学
- ステラファーマ株式会社(ステラケミファグループ)
- ステラケミファ株式会社
- ナノ医療イノベーションセンター
- 国立研究開発法人日本医療研究開発機構
- ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に関するご相談 | 京都大学複合原子力科学研究所
BPAを患者さんに投与後、長時間薬剤を細胞内で保持できる技術
スライムの化学でがん治療の幅をひろげる ホウ素中性子捕捉療法の効果アップ 記者説明会を開催/東京工業大学・東工大ニュース(2020.03.04)の発表資料を見ると、東京工業大学・京都大学・ナノ医療イノベーションセンター(ICONM)・ステラファーマ・日本医療研究開発機構(AMED)と連名になっていますので、東京工業大学は京都大学と同じチームなのかなぁ?と思います。
ホウ素化合物はがんに集まる一方で、長く細胞内にとどまれないという課題があった。
そこで東京工業大学のチームはスライムを作る理科実験を応用。ホウ素化合物に液体のりの成分であるポリビニールアルコール(PVA)という樹脂を加え、化学反応で分子を大きくした。
すると、がん細胞に取り込まれるホウ素化合物の量は約3倍に増え、細胞内にとどまる時間も長くなった
PVAは液体のりのほか、洗濯のりや、さまざまな医薬品の添加物としても使われている。
がん放射線治療 “液体のり”で効果が大幅向上 マウス実験で根治確認 - SankeiBiz(2020.02.18)より
世界初のBNCT用医療機器 住友重機械工業
京大チーム(京都大学複合原子力科学研究所・住友重機・ステラファーマ)のBNCT治療システム 新医療機器承認を取得!
住友重機械のモノづくり vol8 ホウ素中性子捕捉療法
ステラファーマ ステボロニン・・・ステボロニンは、国内初のホウ素中性子捕捉療法BNCTに使用するホウ素薬剤(参考 ’19/10/15 PDFファイル:BNCT用ホウ素薬剤の製造販売承認申請のお知らせ)
ステラファーマの株主
- 4109 ステラケミファ株式会社
- 6302 住友重機械工業株式会社
- 株式会社INCJ
国立がん研究センターのチーム
CICSは、11年から国立がん研究センターなどと小型BNCTシステムの共同開発を進めている
この取り組みには昭和真空が、真空装置メーカーとして培った各種技術が生かされているほか、中性子減速材として日本軽金属ホールディングスが作成したフッ化マグネシウム焼結体が使用されている。
- 株式会社昭和真空|ニュースリリース
- 日本軽金属ホールディングス株式会社 中期経営計画(BNCT医療装置向け加工材料)(2019/5/22 PDFファイル・17ページ目)
- BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)やがん治療のCICS 株式会社CICS(リゾートトラスト関連会社)
- リゾートトラスト株式会社
筑波大のチーム
筑波大学は、現在、産学官連携チームを結成し、「iBNCT001」(以下、つくば型BNCT治療装置)を開発しています
治療は30分〜1時間ほどの照射を1回、治療効果を事前に予測
筑波大学が挑む、細胞レベルでがんを治療するBNCTの研究開発 | 一般社団法人 日本原子力産業協会(2019.11.14)
産学官連携の「いばらきBNCT」チーム
産:
- 7011 三菱重工業株式会社
- 6759 NECトーキン株式会社
- 東芝電子管デバイス株式会社
- 日本高周波株式会社
- 日本アドバンストテクノロジー株式会社
- 株式会社トヤマ
- 株式会社アトックス
- Cosylab
- 株式会社オオツカ
- 株式会社関東技研
- 株式会社大洋バルブ製作所
- DAWONSYS(韓国)
学:
- 筑波大学(医学、薬学担当)
- 高エネルギー加速器研究機構KEK(加速器、装置全般担当)
- 北海道大学(中性子科学担当)
- 日本原子力研究開発機構JAEA(中性子、放射線防御担当)
官:
- 茨城県が建屋と設備担当
- 経済産業省と文部科学省
ベンチャーキャピタルの役割を担い開発費はほぼ補助金による
その他・研究チーム
7711 助川電気工業 は、12年2月に、東京工業大学原子炉工学研究所と共同で、陽子加速器によるBNCTに利用可能な液体リチウム型中性子発生ターゲットの開発に成功したと発表
液体リチウム型ターゲットには、固体型ターゲットの場合に問題とされる、照射損傷による時間的劣化がないため、長寿命と安定した冷却性能が得られる利点がある。
6963 ロームは、16年11月、京都府と京都府立医科大学、福島SiC応用技研(福島県・楢葉町)とBNCTに必要な治療機器を共同で研究開発することで合意したと発表。
機器の開発にロームが最新のSiC(シリコンカーバイド)半導体技術を提供するとともに、技術支援を行うとしている。
BNCT治療にかかる時間や施設建設コスト
BNCTの治療は1回40分ほど。正常な細胞はホウ素化合物をほとんど取り込まない
BNCT施設の建設には50億~70億円と陽子線を使うがん治療施設と同程度の費用がかかる。これを20億円程度に下げる技術をロームが出資する福島SiC応用技研(福島県楢葉町)が開発中
がん治療に第5の道 住友重機・ローム・楽天が競う:日本経済新聞(2019.08.10)より
BNCT治療にかかる費用
当面は自費での診療や、先進医療(自費診療と保険診療の併用)で進めて、保険適用に広げたい考え。先進医療の場合、300万円程度の費用がかかると見られる。
国内には、南東北BNCT研究センターのほか、京都大学、大阪医科大学にもある。
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